葛藤から恵み、感謝へ

ローマ人への手紙7章15節~8章2節

…私は自分がしたいと思うことをしているのではなく、自分が憎むことを行なっているからです。…それを行なっているのは、もはや私ではなく、私のうちに住みついている罪なのです。…私は、ほんとうにみじめな人間です。だれがこの死の、からだから、私を救い出してくれるのでしょうか。私たちの主イエス・キリストのゆえに、ただ神に感謝します。…今は、キリスト・イエスにある者が罪に定められることは決してありません。なぜなら、キリスト・イエスにある、いのちの御霊の原理が、罪と死の原理から、あなたを解放したからです。


今日お開きした7章は、パウロが心の内側の葛藤を告白し、神の救いについて教えてくれています。

ここでパウロは、罪のゆえに自分はしたいと思う善を行わないで、したくない悪を行っている、その葛藤の苦しみを叫んでいます。

パウロの葛藤を一言で言うならば、神様に仕える事を喜びながら、もう一方で、罪に縛られている自分がいると告白しているのです。

聖書の御言葉には、慰め、励まし、私たちの心を喜びで満たして生き生きとさせてくれる側面と、自分がいかに罪深く、みじめな人間かと気付かせる側面があります。

しかし、気付き、そこで終わってはなりません。パウロは、こんな私を救って下さった主イエス・キリストに感謝しますと語っています。3つの事柄を心に留めておきましょう。

1.主イエス・キリストだけが救い主

パウロは、一体誰がこの私を救い出してくれるのかと告白しています。自分や親、兄弟は本当の意味で私たちを救えないとパウロは語ります。

ヘブル7章に「ご自分によって神に近づく人々を、完全に救うことがおできになります」とあるように、主イエス・キリストというお方だけが、この私たちを本当に救って下さいます。

7章4節に「キリストのからだによって、律法に対して死んでいる」とあるように、私たちはキリストの十字架の贖いによって、律法から解放され、神の救いの恵みの中を生きる者とされたのです。

では、具体的に救いとはどういうものでしょうか。

2.私たちは決して罪に定められない

私たちは律法を通して、自分の罪を知りました。しかし、キリストを信じても、罪を犯す弱い存在です。

だから、主の祈りで「我らの罪をも赦し給え」と教えておられるのです。私は車を運転している時でも、もたもたしている車がいたら腹を立ててしまいます。

自分は芥川龍之介の「蜘蛛の糸」に出てくるカンダタと同じだと思います。情けなくあわれな人間です。

しかし、8章1節に「キリスト・イエスにある者が罪に定められることは決してありません」とあるように、キリストを信じているならば、私たちは罪に定められる事はないのです。

イエス様は、本来ならば、私たちを罪に定めてもかまわない存在ですが、あの姦淫の女に、「わたしもあなたを罪に定めない」(ヨハネ8:11)と言われたように、もはや、私たちは罪に定められる事はないのです。

3.罪と死の原理からいのちと御霊の原理へ

6章23節に「罪から来る報酬は死です」とあるように、罪を持っている私たちは、死という壁を乗り越える事ができませんでした。

しかし、罪と死の原理からいのちの御霊の原理へと私たちは移され、いのちと御霊の法則に生きる者とされています。御霊ご自身が私たちと一緒に住んでくださっていますから、私たちの心の中にある様々な罪に打ち勝たせて下さるのです。

病を癒し、死から解放し、永遠のいのちを与えて下さって、神の子どもとしての人生を与えて下さいます。全ての事を働かせて益として下さる、という歩みの中へと導いて下さいます。

パウロは、この死ぬしかない私に、命に至らせる御霊を与えて下さる神様に感謝しますと告白しています。私たちも神の子どもとして、人生を送る事ができる恵みを与えられている事を感謝しようではありませんか。

4.主キリストを信じる者に与えられる救い!

イエス様を信じる者はだれでもその名によって罪の赦しを受けることができると聖書に記されています。

だから、私たちも決して失望することなく、主キリストを信じるならば、誰であっても罪は赦され、癒され、神の子どもとされて永遠の命を受けて神の家族の一員に加えられるのです。これがイエス・キリストによって与えられる福音、良い知らせであることを覚え、力強く歩んでまいりましょう。

5.神の御計画の前進!

パウロは、伝道生涯において良いことも試練も経験したと記しています(ピリピ1:12)。あらゆることが相働いて福音を前進させ、神の御計画を進めるために役立っていることを感謝しています。私たちにも良いことも悪いことも起こりますが、主の計画は前進することを体験し感謝していきたいと思います。

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